「たつ」とは何か? 漢字以前の自然神とは? その4
ヲシテ時代(漢字以前の日本)の自然神の「たつ」には、人々は尊敬の念を持っていました。
「たつ」が居てこそ、富士山の噴火に歯止めが掛かっているのだと…。
そのような感覚が、ヲシテ時代での自然神にあります。
人の生活をサポートしてくれる、そんな位置づけですね。
崇(あが)め、恐れる対象とは、ちょっと趣(おもむき)が違います。
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そんな「たつ」の中でも、人々から尊敬が寄せられるのが、「たつ の キミ」ともなる「たつ」です。
ミチに迷っている、トヨタマヒメさんに、義父のニニキネさんが、お諭(さと)しになる時、「たつ」のキミの成長過程に譬えてのお話がありました。
あなたが、恥ずかしいと思っていることは、
実のところは、あなたに責任などないのですよ。
覗き見した、夫の、ホオテミが悪いのです。
‘ミ・イキ’の教えの事を、考えてみて下さい。
「たつ」の子が、成長して…、 やがて「タツキミ」に成ってゆく時の‘ミ・イキ’です。
「たつ」の子は、千年の間、海に住んで、「たつた」の鎮火・防火の働きを会得します。
こうして「たつ」になった「たつ」の子は、次に千年の間、山に住みます。ここで「たつ」の力の及ぼし方を学びます。
このあと「たつ」の力の活かし方を、里に住んで千年の間、学ぶのです。
こうして、‘ミ・イキ’を悟って初めて「タツキミ」に成り得るのです。
「たつ きみ」の‘ミ・イキ’を、人に応用してみましょう。
人での‘ミイキ’は、ハ イキ(ワ イキ)、ア イキ、ヒト イキの合わせての‘ミ・イキ’です。
1、ハ イキ、とは命が一番大切であることを悟ること。
2、ア イキ、とは社会的な健全さのことです。
3、ヒト イキ、とは男女間の中の良さを意味します。
このように諭された、トヨタマヒメさんは、勇気百倍になったのでした。
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この、「たつ」の子の千年の話は、
丹後の宮津の天橋立に伝わっています。(『九世戸縁起』室町時代頃)
おそらく、トヨケカミからアマテルカミに伝えられ、そののちにニニキネさんに伝えられたのでしょう。 また、その名残りが由緒の深い智恩寺(ちおんじ)に伝承されたのであったと推測されます。 尊いことです。不思議なことです。
天橋立に、行かれるときには、是非とも智恩寺を訪ねて下さい。巻物の『九世戸縁起』(くせと えんぎ)の実物は、 京都の国立博物館への委託収蔵になっていますが、智恩寺の広い境内(けいだい)の何処かにトヨケカミ・アマテルカミのお宮の跡があったと伝承されています。 その、真実の場所を探し訪ねる事は、興味津々です。
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なお、7月の夏のお祭りには、「たつ」も登場します。天橋立の行事です。智恩寺・文殊堂、出船祭り。
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