煎餅本! 修理は,ピンセット。
和本は、湿気がちなところに、
長くあると、煎餅(せんべい)みたいになります。
紙と紙とが、ぴったりくっついて、板状です。
∽ ∽
‘煎餅本’とは、よく表しています。
日本語の造語能力の巧みさには、脱帽です。
… … …
それが、
私の手によって、修理なんて!
本当に思いもよらないことでした。
この写真は、‘煎餅本’修理の状況です。
あ、
何か、お気づきでしょうか?
ちょっと、今より、毛がふさふさ。
そうですね、もう、10年以上の以前になっています。
琵琶湖のほとり、
今は、高島市になっています。
『ホツマツタヱ』の、完写本が発見されたのです。
平成4年(1992)
これより、わたくしの、‘煎餅本’との格闘が、
開始されたのです。
… … …
『ホツマツタヱ』の、最古の完写本は、
杉の木箱に3箱。 6冊ずつ入っていて、24冊。
そのうち、初めの一箱が、痛みに強烈なものがありました。
つまり、‘煎餅本’です!
虫食いがひどく、、紙と紙とが引っ付いているのです。
無理やりはがすと、
虫食いのところが、跡も無く霧散してしまいます。
一枚一枚、裏打ちしながらでないと、
和本を開くことが出来ない。
平成4年に発見された状況は、
‘煎餅本’だったのでした。
『ホツマツタヱ』の、最古の完写本、ひとつの文字だって、
無くしてはならない!
本当に、ひとつの文字だって、なくすわけにはゆかない!
修理をする、専門のプロもありましたが、
ヲシテ(縄文文字)を読めなくては、虫食いの破片を貼り合わす事など、
できる事が、有り得ましょうか?
虫のシマは、捨て去られること100%です。
日を見るよりも、明らかです。
さらに、当時、腕の良い専門家は、多忙でまったく話にもなりませんでした。
これも、幸いだったのでしょう。
このような成り行きで、わたくしの、格闘が始まったのでした。
2本の先尖りのピンセット、
これを、息を止めて、
メガネを外して、あやつりました。
上に掲載しました写真は、
もう、虫食いのところが終わった時のものです。
気楽に、 写真でも写してよ。
こんな感じですね。 てなことは、
息をつめての間は、考えもできませんでした。
虫食いに、挑んでいる時には、
写真など、写す余裕は無かったです。
… … …
さいわい、たまたまでしょうか?
わたくしの、
お茶の師匠が、
生業として、表具屋を営んでおいででした。
自治体から、表彰をお受けになったほどの、
お腕をお持ちだったのが、助かりました。
お茶の不肖の弟子の願いに、
「この良いキレ(上等の布)を、使えば良いよ」
と まで、お導きくださいました。
多くの、お人に、
本当に、親切になってまいりましたことを思います。
表具師の、お茶のお師匠は、
深谷(ふかや)房雄先生、と申し上げます。
それで、‘煎餅本’の虫食いに、
何とか立ち向かうことが出来たのでした。
修理の専門家に、大金を払って、修理依頼をしていたら…、
と思うと、ゾッとなります。
何文字のヲシテが、失われてしまったのだろうか?
わたくしによる、
修理の、美観は大したことは無いですが、
それは、何時でも、またやり直せます。
虫食いは、
あの穴の繋がった、島になってしまったダンゴは、
下手でも、やはり、わたくしの修理で良かった。
と、
思っています。
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